睡眠障害とは
「寝つきが悪い」「夜中や早朝に目が覚める」「熟睡感が無い」――こうした睡眠トラブルのために、日常生活に支障をきたす状態になり、しかもそれが慢性的に続くようなら、それは不眠症かも知れません。客観的に何時間眠っていようと、本人が安眠・快眠できないと自覚する状態が続けば、「不眠症」と診断され得ることになります。
根本的な原因を探ることも重要
不眠症は、うつ病など他の精神疾患の症状の一つとして現れてくるケースが少なくなく、慢性的な不眠症では、その3分の1から半数くらいは何らかの精神疾患を持っていると言われます。したがって、ただ単に睡眠薬で解決するだけでなく、併せて根本的な原因を探ることも重要です。
不眠症の種類
不眠症は、眠れない時間帯を基準として、下記のように入眠障害・中途覚醒・熟眠障害・早朝覚醒の4つに分けられます。
入眠障害
寝つきが悪く、心配事やストレスなどによって起こりやすくなります。ただし、一度寝ついてしまえば、多くは朝まで眠れます。一番よく見受けられるタイプの不眠です。
中途覚醒
寝つきは良いものの、寝ている途中にトイレなどで起きてしまうと、その後眠れなくなってしまい、そのために熟睡感が得られないタイプです。
熟眠障害
十分な睡眠時間をとっていても眠りが浅く、目覚めたときに“熟睡感”が乏しいタイプです。高齢者や神経質な人に多く見られます。
早朝覚醒
寝つきは良く、すぐに眠れるものの、朝早く目が覚めると、そのまま眠れなくなってしまうタイプです。うつ病の患者さんや高齢者に多く見られます。
不眠症の治療
不眠症の治療は、生活習慣の改善(非薬物療法)と薬物療法が中心になります。
生活習慣の改善(非薬物療法)
室温、部屋の明るさなどを調節することにより睡眠が得られやすい環境にする、音楽や読書などによりリラックスできる時間をつくる、就寝の4時間くらい前に食事を済ませ、入浴は1~2時間前にする、毎朝、朝日を浴びて正確な体内時間を設定する、などです。
薬物療法
不眠のタイプによって、睡眠薬の種類も変わってきます。寝つきが悪い、途中で起きてしまう、早く目が覚めてしまう、などの症状に応じて、それぞれに相応しい睡眠薬が処方されます。また、抗うつ薬、抗不安薬なども使用されることがあります。
医師に指示された用法・用量を守って、正しく使用しましょう。なお、服用していた睡眠薬を急に中止すると、リバウンドで不眠が悪化することがあります(反跳性不眠)。医師の指示に従いながら、段階を踏んで薬から離れるようにしましょう。